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先天性大動脈弁二尖弁に対する自己心膜を用いた大動脈弁再建術について


左心室から大動脈への出口にある弁が大動脈弁です。本来は3枚の弁尖から成り立っている大動脈弁が、先天的に2枚や1枚の弁尖として出来上がってしまった先天性の弁膜症です。症状出現は生直後から重篤な症状を呈する場合から中高年以降に初めて判明する場合までさまざまです。同じ二尖弁でも弁が狭くなる狭窄症を呈する場合、弁の逆流が生じる閉鎖不全症を呈する場合、またその両方を呈する場合と病態もさまざまです。

このような大動脈弁疾患に対して従来は機械弁や生体弁などの人工弁置換術やご自分の弁を修理する大動脈弁形成術が行われてきました。機械弁はワーファリンなどの抗凝固薬内服が必要であり、生体弁では弁自体の構造的劣化といった、避けて通れない問題があります。ご自分の弁を修理する大動脈弁形成術も二尖弁という形態が変わらない以上、長期的には再狭窄の可能性が残ります。そこで近年注目されている方法が、ご自分の心膜を利用して大動脈弁を再建する方法です。これは東邦大学医療センター心臓血管外科の尾崎重之教授が2007年から臨床応用されている方法で、これまでに800例以上の患者さんが手術を終了し、その有用性が明らかとなってきました。特にスポーツをされる方や挙児希望の女性など、若年の方にはメリットが多い方法と思われます。

当院では2018年より、自己心膜による大動脈弁再建術を導入し、同年1月に若年女性に対して同手術を施行し、良好な結果で終了しました。今後も適応を吟味しながら若年の方を中心に同手術を導入していきたいと考えております。詳しい情報が必要な方はお気軽にお問合せください。

術前エコー・術後エコー動画でご覧いただけます。

術前エコー
先天性二尖弁で重度の大動脈弁閉鎖不全が認められる。


術後エコー
自己心膜で再建された三尖大動脈弁が良好に開閉している。大動脈弁閉鎖全は微量へ改善した。

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